肥大型心筋症(HCM)-ラグドール
対象
遺伝形式
優性遺伝(顕性遺伝)
概要
肥大型心筋症は猫で最も発生頻度の高い心臓病です。外観上大きな異常は見られず、症状も無症状な場合が多いですが、罹患猫は心臟の壁が肥厚し、心機能が徐々に低下します。心機能低下によって血栓症が生じるリスクが高く、血栓が末梢の動脈に詰まることで突然後肢が麻痺したり、腎不全に陥る場合もあります。心筋症が重症化すると元気や食欲がなくなり、全身循環の低下によって呼吸困難やチアノーゼを呈し、次第に腹水や胸水もたまり始め、注意が必要になります。
予防と対策
本疾患に対する根治的な治療法はありません。発症リスクが高い猫は定期的に健康診断(特に心臟の画像検査)を受診してください。発症した場合は内科療法により病気の進行を抑え、心不全になるまでの時間を延ばす、あるいは心不全の症状を和らげることを目標にします。病気がある程度進行すると血栓が出来やすくなるため、血栓の予防薬も使用します。
参考文献
Meurs KM et al. (2007) "A substitution mutation in the myosin binding protein C gene in ragdoll hypertrophic cardiomyopathy." Genomics. 90(2):261-264.